てくてく
歩くことで健康になる。
無理なく歩こう。
てくてく歩こう。

『てくてく』は「歩くことで健康になる」をテーマとしたWebサイトです。
「歩く」ことに関するさまざまな知見や思いを集めた『てくてく全集』をめざします。
「歩く」と
「ウォーキング」の
ちがいは?
ウォーキングは
スポーツの一種
「歩く」ことは日常的な生活行動のひとつです。屋内外での移動、通勤通学、家事など、日常生活のなかでの歩行については、特に意識していないのが一般的でしょう。
歩くことのうち「ウォーキング」は、健康維持や体力向上を目的とする「運動としての歩行」で、歩き方やスピードに意識を向けて、脂肪燃焼や筋力アップ、心肺機能の強化などを目指します。継続することで、ダイエットや生活習慣病の予防効果も期待できる有酸素運動です。


散歩とウォーキングを
使い分けよう
ただ「歩く」ことといえば、散歩。散歩=ウォーキングと思われがちですが、目的が異なります。ウォーキングは健康増進を目指しますが、散歩の目的は気分転換やリラックス、自然探索です。歩くペースや距離、心拍数といった目標を設定するウォーキングに対して、散歩は気の向くままに、自分が心地良いペースで歩きます。

歩くことで
健康になる「理由」
血行が良くなる
歩くと「第2の心臓」と呼ばれるふくらはぎの筋肉が動いて、血液循環が活性化。血管の柔らかさや弾力性が増して血液がスムーズに流れ、動脈硬化の予防につながります。また、血管が適度に広がって血流への抵抗が下がるため、高血圧の予防・改善効果も期待できるでしょう。
体脂肪が減る
歩行は、呼吸で取り入れた酸素を使って脂肪を燃焼させる有酸素運動です。体脂肪を減らすことで、ダイエットや肥満防止になります。
肥満は身体に負担がかかり、腰痛や膝痛を引き起こします。肥満を放置していると、糖尿病や高脂血症、脂肪肝、心筋梗塞・脳卒中などさまざまな疾病の発症リスクも高まります。
心身ともに安定する
歩くことで、脳内の神経伝達物質であるセロトニンの分泌が増えます。セロトニン(※)には自律神経のバランスを整える、心身をリラックスさせる、睡眠の質を高めるといった作用があります。「幸せホルモン」とも呼ばれ、やる気や前向きな気分をもたらすともいわれています。
※ セロトニンは一定のリズムを刻む運動や、太陽光の刺激で分泌が促されます。歩くことは、セロトニンを増やすための効果的な方法といえます。

「歩く」スポット
歩くコースの選び方
健康のために歩くときは、歩道や歩行者専用コースがある場所を選びましょう。すぐ横を自動車やバイクが通る場合、接触したり避けようとして転んだりする危険性があります。また、気を遣って歩くようではストレスになりかねません。
できるだけ信号が少ないコースを選ぶことも大切です。信号が多いほど立ち止まる時間が増えて、歩くリズムやペースが乱れてしまうからです。健康のための運動として歩くなら、リズムよく歩き続けられるコースにしましょう。
歩くのに適している場所
公園
自動車やバイクを気にせず安全に歩けます。草花や樹木が多く、季節や自然を感じられてリフレッシュできます。
遊歩道
歩くために整備されているため、足元が安定しているのがメリットです。景観を意識したコースも多く、視覚的にも楽しめるでしょう。
河川の土手
河川沿いの舗道は見晴らしが良く、風が通り抜けるなかを歩けます。基本的にほぼ直線であるため、歩いた距離も把握しやすいのもメリットです。
おすすめ「歩く」スポット
霞城公園(かじょうこうえん) (山形県山形市) |
![]() 山形市「霞城公園(国指定史跡山形城跡)について」
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神田川沿い遊歩道 (東京都豊島区・ 新宿区・中野区) |
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平和記念公園 (広島県広島市) |
広島市「平和記念公園について」
ひろしま公式観光サイト「平和記念公園」
![]() |

「歩き方」講座
推奨される歩数とは
厚生労働省が策定した「健康づくりのための身体活動・運動ガイド 2023」では、健康効果を得るための歩数の目標値が示されています。
20~64歳 1日に8,000歩以上 |
65歳以上 1日に6,000歩以上 |
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この目標値には日常の家事・労働・通勤・通学などでの歩行も含まれます。
歩くフォーム
身体を横から見たとき、耳・肩・腰・骨盤が一直線上に並ぶようにしましょう。これが理想の「歩く」フォームです。
歩き出したら、かかとから着地し、かかとからつま先に重心を移動させたら、つま先で地面を蹴り出します。目線は少し先の方を見るようにすると、自然に背筋が伸びます。
歩くときの注意点
- 自分のペースで歩く
- 無理をしない
- 水分を摂る
連載/歩行についてナナメから 田中恩
3 “理想のフォーム”を疑う
前回はウォーキングの基本フォームに関するお話とアルブルの活用例についてお話しました。今回は、「ナナメから」のお話をします。
ナナメからのお話をするために別の図を持ってきました。
カカトからの着地を促すためにしっかりとカカトから着地する瞬間をイラストにしています。皆さんはこのイラストを見てどう思いましたか? 「理想的なフォームだ!」と思われた方、「自分にはちょっと難しそうだ…」と思われた方、「もうこの歩き方でやっている!」と思われた方など様々だと思います。
ここで、先日デイサービスでAさんと歩行練習を行った時の話をします。
Aさんは一本杖を使用していて膝関節や股関節は少し曲がった状態で歩かれています。
平行棒の端を持って立ち座りの練習を行い、そのまま平行棒内を歩いてもらいました。
するとつま先を上げるようにして杖歩行よりもゆっくりと歩かれ、カカト着地を意識しているようにみえました。
「その歩き方はどこかで練習をされたのですか?」と尋ねたところ、「Bデイサービスで練習しました」とのこと。
おそらくですが、Bデイサービスでは「カカトから着地するように」と指導されていたのだと思います。
カカトをつくこと、ツマサキを上げることを意識しすぎて歩行がぎこちなくなりスピードも低下してしまったようです。
Aさんにとってカカト着地を促すことは自然な歩行を制限してしまうマイナス要因になってしまったのだと思います。
この事例から言えることは、“理想的なフォーム”が“誰にとっても理想的なフォーム”ではないということです。
自分に合っていないフォームは身体に負担となり逆効果です。
ウォーキングが身体の負担にならないように自分の普段の歩き方の延長上に理想のフォームを見つけることが望ましいと思います。
参考・引用
健康新潟21はこちら
Arbre(アルブル)はこちら
連載/てくてく歩行学 中村恒太の歩行学基礎知識
4 ウォーキングを行う際の目安(歩数など)について
健康維持や生活習慣病の予防のために、ウォーキングは非常に効果的な運動です。では、一日にどれくらい歩くのが理想的なのでしょうか?
一般的に推奨される歩数は、厚生労働省が取り組んでいる「健康日本21(第三次)」において、性別・年代別の目標値として、20~64歳の男女:8,000歩/日、65歳以上の男女:6,000歩/日と示されています。この目標値を達成する事が難しいという方でも、4,000歩/日以上歩くことで死亡リスクが低下することが報告されています。
一度に長時間歩くのが難しい場合は、1回10分程度のウォーキングを1日数回に分けて行う方法も有効です。例えば、通勤や買い物の際に少し遠回りをする、エスカレーターではなく階段を使う、テレビを見ながら足踏みをするなど、日常生活に取り入れやすい方法を考えることも大切です。ご自身の身体状況に合わせて無理のない範囲で目標値を決めてウォーキングに取り組むと良いのではないでしょうか。
またウォーキングでは歩数だけでなく「歩く強度」も重要です。適度な運動効果を得るためには、1分間に100歩程度のテンポ(中等度の強度)が推奨されています。歩行速度を意識しながらウォーキングを行うことで、心肺機能の向上や筋力維持につながります。
ウォーキングを続けるコツは、「無理なく、楽しく」行うことです。好きな音楽を聴きながら歩く、友人や家族と一緒に歩く、歩いた距離や歩数を記録して達成感を味わうなど、自分に合った方法を見つけましょう。
そして、歩く環境も重要です。滑りやすい靴を避け、クッション性のあるウォーキングシューズを選ぶことで、膝や足への負担を減らせます。
ウォーキングは特別な道具や場所を必要とせず、気軽に始められる運動です。自分のペースで無理なく続けることで、健康な体を維持し、日々の生活をより充実させていきましょう。
連載/てくてく歩行学 川口俊太朗の歩行学入門
3 健康寿命を延ばすために① フレイルとは?
年齢を重ねるにつれて、「最近なんだか疲れやすい」「筋力が落ちてきた」と感じることはありませんか? それ、もしかするとフレイルやサルコペニアのサインかもしれません。これらは高齢者の健康維持において重要なキーワードです。今回は、健康寿命を延ばすために知っておきたいこととして、フレイルの特徴やチェック方法についてご紹介します。
フレイルとは?
フレイルとは、加齢に伴い身体的・認知的・社会的な機能が低下し、健康な状態と要介護状態の中間に位置する状態のことを指します。フレイルが進行すると、転倒や認知機能の低下を引き起こし、最終的には要介護状態になるリスクが高まります。
1. 身体的フレイル
加齢や疾病により筋力、体力が低下し活動量が低下した状態。
フレイルの評価基準として、改訂日本語版CHS基準(J-CHS基準)をご紹介します。
項目 | 評価基準 |
---|---|
体重減少 | 6か月で2kg以上の体重減少がある |
筋力低下 | 握力が男性28kg未満、女性18kg未満 |
疲労感 | この2週間、理由もなく疲れた感じがする |
歩行速度 | 通常歩行速度が秒速1.0m未満 |
身体活動 | ① 軽い運動・体操をしていますか? |
② 定期的な運動・スポーツをしていますか? | |
① ②の質問に対して、「週1回もしていない」と回答 |
改訂日本語版CHS基準(J-CHS基準)
・該当なし → 健常
・1~2項目に該当 → プレフレイル
・3項目以上に該当 → フレイルの可能性あり
2. 社会的フレイル
家族や友人・知人との交流機会が減少するなど、社会的に脆弱な状態です。以下の質問に回答してみてください。
Q1. 一人暮らしですか?(「はい」と回答した場合に該当)
Q2. あなたは、近所の方とどの程度つき合いをしていますか?(「3または4」と回答した場合に該当)
① お互い訪問し合う人がいる
② 立ち話をする程度の人がいる
③ あいさつをする程度の人がいる
④ つきあいはない
Q3. 次の地域活動に参加していますか?(いずれも「なし」と回答した場合に該当)
① 祭り・行事
② 自治会・町内会
③ サークル・自主グループ
④ 老人クラブ
⑤ ボランティア活動
⑥ その他
Q4. 現在の暮らしの状況を経済的に見てどう感じますか?(「1または2」と回答した場合に該当)
① 苦しい
② やや苦しい
③ ややゆとりがある
④ ゆとりがある
以上の回答が2~4項目以上該当すると「フレイル」、1項目該当「プレフレイル」、0項目「問題なし」と判定されます。
3. 精神・心理的フレイル
心理・精神的フレイルは、認知機能低下、うつ症状、それにアパシー(無気力・無関心)などの状態が含まれます。
精神・心理的フレイルは、一般的に標準化されている判断基準はありません。
フレイルの有病率は高く、80歳以上では30%以上該当すると言われています。他人事と思わず是非チェックしてみてください。
連載/てくてく歌う 中川順一
10 歩くの大好き
歌詞に「歩く」が出てくる歌は切ない歌ばかりで、歩くというのは人間にとっては苦行なのだと前号で書いた。そしてまた、切ない歌詞を探しはじめたら、すぐに出てきた。『さんぽ』。
全然切なくない。♪歩くの大好き どんどん行こう♪
『水戸黄門』はこの曲が主題歌だったとしてもいいんじゃないか。
『さんぽ』はジブリ映画『となりのトトロ』のオープニングテーマである。エンディングテーマの『となりのトトロ』と一緒に、井上あずみが歌っている。ジブリ・アニソンの常連だ。
作詞は中川李枝子。この詞を書いたのが中川さんという人だということは、去年亡くなったときにはじめて知ったのだが、このコラムのネタでは結びつかなかった。『となりのトトロ』の公開は1988年で、中川さんは1935年生まれ。50歳を過ぎた頃の作品なのかと思いつつ、トトロももう37年も前の映画なのかとしみじみしなから、♪歩こう歩こう私は元気♪と歌っている。
ところで、トトロの舞台の話。ところで、と切り出したのは、トトロが生まれたのは埼玉県所沢市ということになっているからだ。宮崎駿監修の『トトロの生まれたところ』という本に書いてある。トトロの名前の由来は諸説あり、「所沢にいるとなりのオバケの略」説や、「宮崎監督の知人の少女が所沢を『ととろざわ』と発音していた」説などがある。筆者としては、ととろざわ説に一票を投じたい。所沢駅では便乗して発射メロディを 『さんぽ』と『となりのトトロ』にしているらしい。まだ聞いたことがないからどんな感じかわからないけど、どうせなら電車が着いたら「ととろざわー、ととろざわー」とアナウンスしろよ、西武鉄道。
『となりのトトロ』と言えば「ネコバス」だ。主人公のサツキもメイも、歩くのが好きだと歌いながらバスに乗っている…ってなシーンはなかったな。
『さんぽ』(1988年)
唄・井上あずみ 詞・中川李枝子 曲・久石譲