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クロム酸アルマイトの基礎-1

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クロム酸アルマイトというアルマイトの技術はご存知でしょうか?現在では環境問題によりあまり適用されていない技術ですが、昔の図面やどうしても耐食性が必要な特殊用途部品ではまだ使用されている技術となります。その技術の基礎について少し調べたのでここで紹介します。参照した論文は(1)となります。

クロム酸アルマイトとは

クロム酸アルマイトはクロム酸溶液中でアルミニウムを陽極処理することで得られる被膜となります。似たような技術では、硫酸アルマイトやシュウ酸アルマイトがあり、例えば金色のヤカンや鍋を見たことがないでしょうか?あの金色はあの着色処理を行っているのではなく、シュウ酸アルマイトをすることによって得られる被膜の色となります。意外と身の回りでもアルマイトという技術は利用されているんですね。

クロム酸アルマイトは薄膜(一般的に約3 μmと言われている)であり、耐食性も優秀であるということで寸法精度が求められる主に航空、宇宙分野で利用されてきました。現在では、EUを発端とする6価クロムの規制によりその需要が減少し、代替手法が提案されてきている状態です。

ここで、なぜクロム酸アルマイト?ということですが、新しい技術にしろ現行技術にしろ過去に流行った技術がどのような理由によるものか?ということを知る必要があります。今回はアルマイト関連の基礎第一弾ということで紹介したいと思います。

クロム酸アルマイト皮膜の構造

クロム酸アルマイトは硫酸アルマイトの皮膜構造(鉛筆の芯を大量に並べたような構造)とは異なり、ランダムなポーラス構造を取るようです。また、形成される膜はアモルファス構造を取り、その皮膜中には僅かな6価クロムを含むとのことです 。

被膜の親水性は硫酸アルマイトに比べると悪く、硫酸アルマイトと比べるとアルマイト皮膜中の吸着水分量が低くなる傾向が見られています。この理由としては酸化空隙の置換による酸化を通してアルミニウムカチオン(アルミニウム3+イオン)と酸素アニオン(O2-)の移動を促進しているとされています。

純水シーリングの効果

純水シーリングをすると親水基が多い硫酸アルマイトのほうが封孔には向いていると考えるのが普通ですが、結果は逆になるとのこと。クロム酸アルマイト皮膜は硫酸アルマイトの皮膜に比べると結晶化しやすい(TG-DTA)ということでした。

私の考察

クロム酸陽極処理は硫酸アルマイトに比べると結晶化しやすいとのことでしたが、それはすなわち活性が高い状態で被膜が形成されていることにほかなりません。具体的な記述はこの論文にありませんでしたが、水和反応を起こすために必要なエネルギーがあまりいらない=活性化エネルギーが小さいことによって反応が促進され、結果として硫酸アルマイトよりも封孔処理による吸着水分量が多くなることが考えられます。

今回の論文ではクロム酸アルマイトが高い耐食性を示す理由としては封孔処理がより進むという点でしょうか。今後も他のアルマイト技術を紹介しながら、どの処理がどのようなメリットを持つのかという点が比較できればと思います。

今回紹介している論文は30年前のものですが、よく分析がされている素晴らしい論文でした。これを伝えきれないのは私がまだまだ技術屋として未熟であるという点に付きます。

参考文献

(1)V.P. Parkhutik, Electrochimica Acta(1990) Vol35, No.6 961-966

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