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コットンやポリエステルへの銀めっき技術の検証

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布の加工といえば染色などが一般的な加工です。今回は、そんな布にめっき(広義の意味で)し、その評価を行ったという論文がありましたのでそちらを紹介します。(1)

布にめっきする

世の中にはまだまだ知らない世界があるものだと思う反面、どのような技術が興味深いので見てみましょう。布の種類はコットンとポリエステルを選定し、めっきの手段としては、無電解銀めっきを取っていました。

前処理

前処理は普通のめっきと変わらず、アルカリ洗浄剤による洗浄を行い水洗の後、布表面への触媒付与を行っておりました。

触媒としては塩化錫を主剤とする酸性溶液で0.2 ~ 0.5 %ほどの濃度となっています。

めっき処理

めっき液は硝酸銀主体のアルカリ性アンモニウム系/グルコース系の処理液を選定されていました。

めっきの評価

めっきの評価としては一般的な金属上のめっきとは異なる評価手法を取られていました。

重量増加量評価

金属であれば膜厚で評価される項目となりますが、ここでは布へのめっき技術ということで重量増加量が計測されていました。めっきの結果はコットンで14%、ポリエステルで16%の重量増加となっていました。

布の厚み増加量

金属のように単純な厚み評価はできないものの、計測の結果では厚みがコットンで0.02 mm、ポリエステルで0.01 mmの厚み増加が確認されたそうです。

布の曲げ試験

金属でも曲げ試験というものがありますが、布の場合は衣類などで使用される機会も多く曲げに対して強くないといけません。また、金属の曲げ試験と異なるのは曲げによる破断を確認するのではなく、一定の角度に曲げるためにどの程度の力が必要か?という点を評価しています。

結果としてはコットンは若干硬くなったのに対して、ポリエステルは30%ほど柔らかくなるという結果が得られました。これはめっき工程で使用されるケミカル薬品類の影響によるものであろうと推定されています。

色調変化アセスメント

布は化学処理することで変色しますが、汗や水洗い擦れといったものに対しても強くなければなりません。ポリエステルはドライでの擦れの力に強かったそうですが、水が含まれると銀の脱落につながる結果となったそうです。コットンではさらに逆の性質があったとのこと。

紫外線遮蔽効果

最近、紫外線遮断効果を有する布(服)が発売されているのをご存じでしょうか?銀にもそのような効果があるのか?と調べた結果、コットンはもともとの紫外線遮断効果UPFが14程度だったのが220程度までアップ、ポリエステルで100程度が490程度までアップしており、それぞれUPFレーティングが 50+となる結果が得られました。UPF 50+という値は紫外線を95%以上カットするという割合を示すもので、ポリエステルの銀めっき品であればほとんどの紫外線をカットできる効果があるといえます。

私の考察

布の上にめっきする技術があるというのは、正直考えたことがありませんでした。プラスチック上にはめっきする技術があり実用化されています。しかし、布にめっきをすると布の柔らかさが損なわれるのでは?というのが最初の感想でした。しかし、論文を読み進めると、繊維上に完全な金属膜を形成しているとは言えず、どちらかといえば微粒子分散しているイメージでした。(冒頭で広義の意味でと示しているのはこれが理由です。)

技術としては面白いと思う反面、やはり繊維状に粒子を定着させる技術というのは改めて難しいと考えさせる論文でした。どの程度の銀粒子の脱落があったのかは明記されていませんでしたが、毎日着る服で洗濯機で洗浄されるなどの物理的、化学的アタックがある場合に、その安定性は問題となります。今後、金属以外の表面処理についても調べて展開していきたいと思います。

参考文献

(1)S.Q.Jiang. Textile Research Journal (2006) 57-65

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