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薄膜型無電解ニッケルのピンホール対策と界面活性剤の効果

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めっきは薄膜になればなるほどピンホールなどの欠陥が発生しやすく、特に耐食性が求められる環境においては致命的な欠陥となりうる。そんなめっきの欠点を補うべく界面活性剤の効果を検証した論文があったので紹介します。(1)今回紹介するめっき種は無電解ニッケルめっきで、対象としている金属は鉄となります。

界面活性剤について

SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)をはじめとする界面活性剤は日常製品にも油分を除去する成分などで添加されていることが多いです。界面活性剤の役割は表面張力を下げることで、例えば、擦り切れ一杯のコップにさらに水を入れてこぼれないようにどこまで入れられるか?という遊びをしたことがありませんか?やってみると意外と水が盛り上がりこぼれないものですよね。その状態で石鹸のような界面活性剤を入れると表面張力、すなわち水が集まる力が減少し水がこぼれます。

水滴を平らな面に1滴垂らすと同様に盛り上がった水滴ができますが、この水滴と平面との接触角度を計測し定量化すると濡れ性と呼ばれる性質の評価が可能となります。界面活性剤を入れることでこの角度がどのように変化して言うかという研究もなされております。詳しくは調べてほしいですが、一般的に少しずつ界面活性剤を増やしていくと、CMC(臨界ミセル濃度)の前後まで表面張力が下がり続けます。

今回の研究ではこの界面活性剤の効果とめっきの成膜がどのような関係にあるのかを調査しておりました。

界面活性剤の種類と表面張力

論文中でもちいた界面活性剤はSDSとAPFO(アンモニウムペンタデカフロロオクタネート)の2種類です。SDSまたはSDS+APFOを割合を変えながら試験をし、めっきの成膜条件を確認していました。

めっき液中では界面活性剤の表面張力の減少効果が大きく、CMCよりはるかに薄いの濃度でCMC付近の表面張力低下を達成することがわかりました。これは金属イオンが多いことが原因であるといわれています。

めっき液に界面活性剤を入れる理由は反応によって生じる水素の泡を除去する、濡れ性を向上させることで表面反応をスムーズにするためといわれています。

界面活性剤を入れることによるめっきの成膜改善

論文では、SDS(0.3%)とAPFO(0.3%)が高いとめっきのピンホール率が改善し、1.5μmのめっき厚で0.002%しかピンホールがなかったと報告されていました。また、膜を形成する粒子も微細化されていたとのことでした。

私の考察

この項目はいらないかもしれませんが、一応私の意見も述べさせてください。めっき、特に無電解ニッケルめっきは工業的には非常に重要なめっき種となります。その理由としてはめっき液さえ入ってしまえばめっきが可能であるという点が挙げられます。さらに、複合めっきのような機能めっきとしても有効ですし、熱処理を施すと機械的特性も向上します。欠点があるとすれば、成膜速度が遅いこと、高温処理であること、そして、ピンホールなどの欠陥を生じやすいことが挙げられます。

特にピンホールは致命的で一般産業用として短命の使用時間であれば問題ありませんが、超長期的な安全性を求められる場所ではやはり利用を憚られます。今回の研究によって薄くてピンホールのないめっきが可能常時生産できるようになればその活躍の場はさらに広がるでしょう。そして、この技術とマグネシウム合金などの軽量合金への成膜を組み合わせることでさらに利用が普及するかもしれません。やはり軽量で錆びないというのはいいですよね。もっと自動車などの燃費も改善されるかもしれません。今後の発展に期待です。

参考文献

(1)F. Takashiro / MRS communications Vol9.(2019) 352-359

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